こんにちは。デザイナー歴25年、現デザインスクール講師のスクエアワークスの中の人です。
「デザイナーになりたい」と思ったとき、まず出てくるのが グラフィックデザインとWebデザインの違い です。
どちらも「デザイン」と呼ばれますが、扱う媒体や役割は大きく異なります。
私は現在、デザインスクールで未経験の方にデザインを教えていますが、最初に必ずこの違いを解説します。なぜなら「どちらを学ぶか」で、学習の方向性も働き方も変わるからです。
「グラフィックとWeb、どちらを学べばいいの?」という疑問を、ここでしっかり解消していきましょう。

デザインは一生物のスキル
はじめに結論を伝えるとこれです!
25年グラフィックと20年Webデザインの分野に携わってきた私が、現在のリアルな状況を踏まえて、どっちを選ぶべきかの結論です。
企業や個人事業主がオンライン集客を重視している今、WebサイトやSNSデザインの需要は圧倒的に増えています。
学んだ直後からクラウドソーシングや副業案件で実践できるため、収入につなげやすいのが特徴です。
フリーランスや在宅案件が多く、副業やリモートワークとも相性がいいのも魅力です。
ただ、グラフィックデザインも学ぶ価値があります。
なぜなら、ブランドの世界観を表現するのはグラフィックの強みであり、それを扱えるWebデザイナーは圧倒的に差別化できるからです。
理想は「まずはWebデザインを学んで、余裕があればグラフィックデザインで差別化」。
最後まで読んで、あなたに合った選択をしてくださいね。
グラフィックデザインとは、主に 紙媒体に印刷されるデザイン を扱う分野です。街中のポスターやお店のチラシ、会社案内のパンフレットや名刺など、身近なところで目にする多くの「印刷物」がグラフィックデザイナーの仕事。
デザインの役割は「伝えたい情報を、わかりやすく魅力的に届けること」。見た人が一瞬で理解できるように、文字の配置や色の組み合わせ、写真の使い方などを工夫して作られます。
主な制作物
- チラシ、ポスター
- パンフレット、カタログ
- 名刺、ショップカード
- 雑誌の広告ページ
- パッケージデザイン
- ロゴ制作
使うツール
- Adobe Illustrator
ロゴ・レイアウト制作の定番 - Adobe Photoshop
文字・写真加工や合成に必須 - Adobe InDesign
冊子や雑誌のレイアウト用
- 視覚的にインパクトを与え、ブランドイメージを強化できる
- 印刷の知識(色の扱い、紙の種類、加工方法)が必要
- デザイン基礎(レイアウト・配色・タイポグラフィ)を徹底的に学べる
グラフィックデザインは、印刷業界全体の縮小という課題を抱えていますが、完全になくなることはありません。特にパッケージデザインやブランディング分野では、物理的な商品がある限り需要は続きます。
また、デジタル化が進むほど、逆に「手に取れる美しいもの」への価値が高まる傾向もあります。ただし、単純なチラシ制作のような案件は減少傾向にあり、より専門性の高い分野にシフトしていく必要があるでしょう。
地域密着型の仕事や、高級ブランドの印刷物など、「デザインの質」が重視される分野では今後も需要が見込まれます。
グラフィックデザインはこんな人におすすめ
- デザインの基礎をじっくり学びたい
- 形に残る物作りがしたい
- ものづくりが好き
- 印刷業界で働きたい
- 地域密着型で働きたい
- アートディレクターを目指したい

私自身も最初はチラシやパンフレットなどのグラフィックから学びました。構成力や配色のセンスを磨くのにとても役立ち、今のWebデザインの仕事にも活かされています。
Webデザインとは、 インターネット上で閲覧されるコンテンツのデザイン のことです。企業のホームページや商品販売用のランディングページ、ECサイトの商品ページ、さらにはSNS投稿画像やYouTubeサムネイルまで、オンラインで目にするビジュアルの多くはWebデザイナーの手によって作られています。
パソコンやスマホで快適に見えるように設計することが求められ、見た目の美しさだけでなく、ユーザーが「どのように行動するか」を考えた導線設計が大切になります。
主な制作物
- 企業や店舗のホームページ
- サービスのランディングページ(LP)
- ECサイトの商品ページや商品画像
- SNS投稿用の画像
- YouTubeのサムネイル
使うツール
- Adobe Photoshop
- Figma
- Adobe XD
- HTML/CSS知識
- Canva
- データで管理できるため更新や修正ができる
- 集客やマーケティングとの結びつきが強い
- デバイス(スマホ・PC・タブレット)に合わせたレスポンシブ対応が必要
Webデザインは当面、成長が続く分野だと思います。企業のDX推進、ECサイトの増加、オンライン教育市場の拡大など、デジタル化の波は止まりません。ただし、NoCodeツールやAIデザインツールの普及により、単純な作業は自動化される可能性があります。
そのため、マーケティング知識やUI/UX設計力、コーディングスキルなど、付加価値の高いスキルを身につけることが重要になります。また、スマホファーストの時代が続く中、モバイル対応やアプリ設計のスキルを持つデザイナーの需要は特に高まっていくでしょう。
Webデザインはこんな人におすすめ
- 在宅・リモートで働きたい
- 副業から始めたい
- 将来的に独立・フリーランスを考えている
- 安定した収入が欲しい
- 新しい技術を学ぶのが好き
- マーケティングに興味がある

Webを学び始めてから、案件の幅が一気に広がりました。今は個人でも企業でもWeb集客が必須なので、学ぶなら現実的にWebが最優先だと実感しています。
ここでグラフィックデザインとWebデザインを一覧表で整理してみましょう。
項目 | グラフィックデザイン | Webデザイン |
---|---|---|
媒体 | 紙・印刷物 | インターネット |
目的 | ブランドイメージ、世界観の表現 | 集客・行動導線の設計 |
主な制作物 | チラシ、ポスター、パンフ、ロゴ | ホームページ、LP、ECサイト、SNS画像 |
使用ツール | Illustrator、Photoshop、InDesign | Photoshop、Figma、XD、Canva、HTML/CSS |
必要な知識 | 印刷技術、色校正 | デジタルリテラシー、マーケティング |
学びやすさ | デザイン基礎をしっかり学べる | 案件や働き方に直結しやすい |

WebデザインはPhotoshopやFigmaが主流だけど、私はIllustratorでデザインしています。
👉 YES → Q2へ
👉 NO(まずは表現力を磨きたい) → グラフィックデザイン
👉 YES → Webデザイン
👉 NO(企業や広告代理店で働きたい) → Q3へ
👉 デジタルが得意 → Webデザイン
👉 紙や印刷物が好き → グラフィックデザイン
👉 まずは Webデザイン で実務スキルを身につけて収入に直結
👉 余裕が出たら グラフィックデザイン で差別化
もし私が今スキルもなく、ゼロからデザイナーを目指すとしたら、間違いなくWebデザインから始めます。
理由は…
- 案件の量が多い(需要が多い)
- 副業から始められる(リスクが少ない)
- 在宅で働ける(家族との時間を大切にできる)
- 将来性がある(まだまだ成長市場)
私は当時(2000年頃)、高校卒業後、専門学校に入学しましたが学費を稼ぐためのバイトで精一杯。結局3ヶ月で中退しました。あの時払った学費、今思えば本当にもったいなかった…。
専門学校に行くことが悪いことではなくて、今の時代で同じ学費を払うなら確実にデザインスクールに通っていたということ。過去の自分にアドバイスするなら「今すぐデザインスクールに行け!」と言いますね。

今のデザイン学べる環境は羨ましすぎる!
ここで強調しておきたいのは、グラフィックの学びが無駄になることは絶対にない という点です。
- 配色の感覚
- レイアウトのバランス
- タイポグラフィの基礎
これらはWebでも欠かせない要素です。
余裕がある方は、Webをメインにしながらグラフィックの基礎も学ぶと「デザインの引き出し」が増えて強みになります。
よく考えてみてください。お店を開業する人、会社を起業する人がいなくならない限り、デザインってなくならないんです。むしろ、AIが普及すればするほど、「美しいデザイン」「センスの良いデザイン」の価値は高まります。
25年やってきて分かったのは、グラフィックデザインもできるWebデザイナーが一番強いということです。
ただ同じデザインでも概念が違うので、Webデザインをある程度極めてから学ぶ方が間違いないです。
- 今すぐスキルを身につけたい・転職したい ▶︎ Webデザイン
- デザインの美しさを追求したい ▶︎ グラフィックデザイン
- 最強を目指すなら:Webデザイン ▶︎ グラフィックデザインの順番で両方
私は25年間、専門学校中退→広告代理店→グラフィックデザイン→Webデザインという道のりを歩んできました。遠回りしたからこそ言えるのは、今の時代まずはWebデザインを学ぶべきだということです。
でも、グラフィックデザインで学んだ「美しいデザインを作る力」は、今でも私の最大の武器になっています。デザインはなくならない。だから、稼げるようになったら絶対にグラフィックデザインも学んでほしい。
迷っているあなたへ。
完璧な選択肢を待っていても始まりません。まずは需要の多いWebデザインから始めて、デザイナーとして食べていけるようになりましょう。その後で、グラフィックデザインにも挑戦して「総合デザイナー」を目指してください。
大切なのは、まず一歩踏み出すことです。

今は学べる環境がたくさんあります。あなたの人生を変える第一歩を、今日から始めませんか?
