Webデザイナーは、在宅で働ける、副業にしやすい、未経験から目指せると紹介されることが多い仕事です。
でも実際は、デザインだけしていればいいわけではありません。学ぶことも多いですし、クライアントに合わせた修正や、Webの仕組みを理解することも必要です。
私は長くデザインの仕事をしながら、現在はスクールで未経験者も教えています。その中で、「このままなら、Webデザイナーはやめておいた方がいいかも」と感じる人がいるのも事実です。
一方で、私はこの仕事が今でも好きです。時間を忘れてデザインしていることも珍しくありません。
この記事では、「Webデザイナーはやめとけ」と言われる理由だけでなく、実際に挫折しやすい人、仕事にしてから苦労しやすい人、目指す前に知っておきたい現実までお話しします。
デザイナー歴26年、現役でデザインスクール講師もしているスクエアワークスの中の人です。今回は普段より少し辛口ですが、実際に初心者を教え、仕事を続けてきた立場からお話ししますね。
Webデザイナーは「やめとけ」と言われる理由は?
Webデザイナーが「やめとけ」と言われる背景には、華やかに見えるイメージと、実際の仕事とのギャップもあると思います。
「おしゃれなものを作る仕事」というイメージだけで始めると、思っていた仕事と違ったと感じるかもしれません。

Webデザイナーの仕事は、見た目をきれいに整えるだけではありません。
誰に見てもらうのか、何を伝えるのか、どこをクリックしてほしいのかなど、目的を考えてデザインする必要があります。
クライアントとのやり取りや修正もありますし、マーケティングの視点が必要になることもあります。
さらに、コーディングを自分で担当しないWebデザイナーでも、HTML・CSSなどWebページがどう作られているのかは知っておいた方がいいです。
講師をしていると、

「コーディングの知識も必要なんですか?」
と驚かれることがあります。
自分でコードを書かなくても、実装できないデザインを作ってしまっては仕事になりません。

自分では「これが一番いい」と思ったデザインでも、クライアントの目的と合わなければ修正します。
細かな文字サイズや余白、色、写真などを何度も調整することもあります。
最初に作ったデザインを守ることより、よりよいものへブラッシュアップすることの方が大切です。

Webデザインの仕事を始めたら、勉強が終わるわけではありません。
デザインツールも変わりますし、AIや新しいサービスも増えていきます。
Webサイトの作り方やマーケティングも変化します。
一度覚えればずっと同じ方法で仕事ができると考えていると、Webデザイナーはしんどい仕事になると思います。
Webは変化が早いので、私も今でも新しいことを調べます。全部を追いかける必要はありませんが、「必要になったら学ぶ」が苦にならない人の方が続けやすい仕事です。「Webデザイナーはやめとけ」という言葉だけで決めるのではなく、自分がこの仕事を楽しめそうかを知ってから判断することが大切です。
講師をしていて正直「Webデザイナーやめとけ」と思う人
普段はかなり優しく教えているつもりですが、ここだけは少し厳しめに言わせてください(笑)。
スクールで初心者を見ていると、最初のデザインが上手かどうかより、普段の取り組み方を見て「このままだと厳しいな」と感じることがあります。
上手じゃないことはまったく問題ありません。
でも、次の状態が続くなら、一度「本当にWebデザインをやりたいのか」は考えてみてほしいです。

授業の日だけパソコンを開いて、次の授業までデザインに触れない。
これでは、なかなか身につきません。
デザインは知識を聞いて覚えるだけでなく、自分で何度も作ることで少しずつ分かるようになるものです。
毎日何時間も必要とは思いませんが、できれば少しでも頻繁にデザインへ触れてほしいです。

仕事や家事で忙しく、課題ができない週があるのは当然です。
ただ、課題をやらない状態がずっと続いているのに「Webデザイナーになりたい」と言われると、かなり厳しいと感じます。
スクールに入ったこと自体が、スキルになるわけではありません。
自分で手を動かした時間が必要です。

「このサイトいいな」
「こんなバナーを作ってみたい」
「自分ならこうしてみたい」
という気持ちがある人は、自然とデザインを見るようになります。
逆に、デザイン自体にはあまり興味がなく、
「在宅で働きたい」
「副業で稼ぎたい」
だけが目的になっていると、学習が苦しくなりやすいです。
Webデザイナーを続けるうえで、やっぱり「デザインが好き」はかなり大切だと思っています。

講師が「ここを直して」と言ったところだけ直す。
課題で指定されたものだけを作る。
それだけだと、仕事になったときに困ります。
デザイナーは、
問題を見つける → 考える → 提案する → 作る → 修正する
仕事です。
「次に何をすればいいですか?」を待ち続けるだけではなく、自分から考える力も必要になります。

Adobeなど、仕事としてデザインをするなら必要になるツールがあります。
もちろん費用は安い方がいいですし、必要のないものまで購入する必要はありません。
ただ、
「仕事にしたいけれど、必要なアプリにもお金を使いたくない」
となると、少し厳しいです。
仕事として続けるなら、必要な道具や環境にはある程度の費用がかかります。

反対に、私が見ていて伸びるのは、必ずしも最初からデザインが上手な人ではありません。
週1回の授業でも、
- きちんと参加する
- 課題をやってくる
- 分からないところを質問する
- 添削されたところを直す
- また自分で作ってみる
これを続けている人は、ちゃんと変わっていきます。
挫折してしまう人は、分からないことがないのではなく、「何が分からないのか」を考えるところまで進まないことも多いです。
才能があるかより、自分から手を動かして、分からないことをそのままにしないことの方が大切です。
ここだけは少し厳しめです(笑)。上手じゃなくても全然大丈夫。でも課題をやらない、質問しない、デザインにも興味がない状態が続くなら、一度「本当にやりたい?」と考えてみてほしいです。
Webデザイナーになってから「向いてない」と感じやすい人
学習を続けられたとしても、実際に仕事を始めると別の向き・不向きも見えてきます。
私が仕事をしていて「これはしんどそうだな」と感じるのは、次のようなタイプです。

商業デザインは、自分が好きなものを自由に表現するためだけのものではありません。
クライアントの目的や、届けたいターゲットに合わせて作ります。
自分の世界観を最優先したい場合は、商業デザインよりアートなど別の表現方法が合うこともあります。

「私はこの色が好き」ではなく、
「この商品を買ってほしい人には、どちらが伝わりやすい?」
で考える必要があります。
自分の好みから一度離れて考えられることは大切です。

クライアント自身も、何をどう伝えればいいのか整理できていないことがあります。
話を聞いて、
「本当に伝えたいことは何だろう」
「どんな人に届けたいんだろう」
と考えるのもデザイナーの仕事です。

ディレクターやクライアントから指摘を受けたときに、「自分のデザインを否定された」と感じてしまうと苦しくなります。
修正には理由があります。
指摘を受けながら、目的に合うデザインへブラッシュアップできることが大切です。

デザインでは、文字サイズや余白、位置など細かな調整を繰り返すことがあります。
「もう作ったから終わりにしたい」というタイプには、面倒に感じるかもしれません。

Webでは、公開したあとにクリック数や問い合わせ数などを見ながら改善することがあります。
見た目だけでなく、結果まで考えることに興味がある人の方がWebデザインを楽しみやすいと思います。

Webの仕事は変化します。
一度覚えたことだけで何十年も同じように仕事をするのは難しいです。
自分のデザインに固執せず、相手に合わせて考え、学びながら改善できる人の方がWebデザイナーには向いています。
デザインは「自分の作品を守る仕事」ではなく、相手の目的に合わせてよりよくしていく仕事です。指摘を受けても「じゃあどう直そう?」と考えられる人は強いですよ。
未経験からWebデザイナーを目指して後悔しやすい3つの勘違い
スクールで未経験者を見ていると、Webデザインの仕事をよく知らないまま学習を始める人も少なくありません。
特に、次の3つは始める前に知っておいてほしいです。

スクールを卒業することと、仕事ができるようになることは同じではありません。
スクールでは必要な知識を学べますが、卒業後も作品制作やポートフォリオの改善は必要です。
スクールはゴールではなく、仕事を目指すためのスタート地点の一つと考えた方がいいです。

FigmaやPhotoshopを操作できても、それだけではWebデザイナーとは言えません。
必要なのは、
- デザインの基礎
- 情報整理
- ターゲットへの理解
- Webサイトの仕組み
- コーディングへの理解
- マーケティング
などです。
特に、「コーディングはしないから知らなくていい」と思っている人もいますが、実装を考えたデザインを作るにはWebの仕組みを理解しておく必要があります。

在宅で働けることや、副業という働き方に魅力を感じてWebデザインを学ぶこと自体は悪くありません。
ただ、
「未経験から短期間で学んで、すぐ在宅で稼げる」
というイメージだけで始めると、実際の学習量とのギャップに驚くと思います。
スクールに入っても、毎日ほとんどデザインをしなければ上達は難しいです。
スクールに入っただけ、ツールを覚えただけで仕事になるほど簡単ではありません。結局は自分で作った量と、直した量が必要です。
「在宅で働けるから」が入口でも大丈夫です。ただ、仕事にするにはきちんとデザインを学ぶ必要があります。まず仕事内容を知ってから始めると、ギャップも少なくなりますよ。
実際にあった生徒さんの失敗例と成功例
ここまでお話ししたことは、実際にスクールで相談を受けてきた中でも何度も感じています。
少し具体的に、これまでに相談を受けた生徒さんの例を紹介します。
※個人が特定されないよう、一部内容を調整しています。
失敗例① 半年間ツールを勉強したのに、デザインが作れなかったBさん
30代のBさんは、半年間独学でPhotoshopを勉強してから相談に来られました。
チュートリアルを一通りこなし、「Photoshopはある程度使える」と感じていたそうです。
ところが、実際に課題としてテキスト原稿を渡し、
「この内容をデザインしてください」
とお願いすると、そこで手が止まってしまいました。
ツールの操作はできても、
- 何を一番目立たせるのか
- 情報をどう整理するのか
- どんなレイアウトにするのか
- ターゲットにどう見せるのか
というデザインそのものを考える学習ができていなかったからです。
最終的にはスクールで学び直すことになりました。
ツールのチュートリアルをこなすことと、ゼロからデザインを考えて作れることは別です。
半年間の勉強が無駄だったわけではありませんが、仕事を目指すという目的から見ると、少し遠回りになってしまった例です。
失敗例② 「デザイナーになれれば何でもいい」で迷子になったDさん
20代後半のDさんは、「デザイナーになれれば何でもいい」と考え、SNSで見つけた高額な自主学習用の動画教材を購入して勉強を始めました。
Webデザインもグラフィックデザインも学び、1年間続けたものの、
「結局、仕事につながってない…」
という状態になって相談に来られました。
Webもグラフィックも少しずつできるけれど、就職活動で見せられるほど得意な分野がなく、ポートフォリオにも方向性がありませんでした。
最初に、
「何を作りたいのか」「どんなデザイナーを目指したいのか」
を決めないまま、できることだけを増やしてしまった例です。
未経験のうちは、Webもグラフィックも全部やろうとするより、まず一つの分野でしっかり作品を作れるようになる方が進みやすいです。
成功例 20点のポートフォリオを5点に絞って採用されたCさん
一方、以前ほかのスクールで学んだあとに相談へ来られた20代のCさんは、20点以上の作品を掲載したポートフォリオを持っていました。
たくさん作品を載せれば評価されると思っていたそうですが、採用側から言われたのは、
「数はいらない。質を見せてほしい」
という厳しい言葉でした。
そこで一緒に作品を見直し、20点以上あった作品から5点に厳選。
さらに、
- 誰をターゲットにしたのか
- 何を伝えるためのデザインなのか
- なぜこのレイアウトや色にしたのか
といった企画意図やターゲット設定を言葉にして説明できるように整理しました。
その結果、無事に採用につなげることができました。
作品は「たくさん作った」だけではなく、なぜそのデザインにしたのかまで説明できることが大切です。
失敗例を見ると「センスがなかったから」ではないんです。学ぶ方向がずれていたり、目的が曖昧だったりすることの方が多いです。逆に、軌道修正してちゃんと改善すれば結果につながる人もいます。
それでもWebデザイナーは面白い仕事だと思う

ここまでかなり厳しいことを書きましたが、私はデザインの仕事が好きです。
必要な情報を整理して、
「誰に、何を、どう伝えるか」
を考えながら形にしていくこと自体が面白いと思っています。
そして、作ったデザインをクライアントに見せたときに、
「これです!」
「想像していたよりすごい」
「このデザインでお願いします」
と言ってもらえるとうれしいです。
納品したあとに「役に立ったよ」と言ってもらえるのも、この仕事を続けていてよかったと思う瞬間です。
私はデザインを始めると、気づけば数時間経っていることも珍しくありません。
それだけ集中していますし、楽しいので「仕事をしているのが苦痛」という感覚もあまりありません。
向いている人にとっては、Webデザイナーは「やめとけ」と言われて諦めるような仕事ではありません。私は今でもデザインを天職だと思っています。
もちろん、全員がそう感じる必要はありません。
でも、作ることが好きで、人の役に立つことや、もっとよくする方法を考えるのが好きなら、Webデザインを一度やってみる価値はあると思います。
クライアントから「これです!」と言ってもらえた瞬間は、今でもうれしいです。届けたい人に届く形を考えることが好きなら、Webデザインはとても面白い仕事ですよ。
Webデザイナーを目指すか迷ったら、まず小さく試してみよう
「自分に向いているか分からない」と思うなら、最初から大きな決断をしなくても大丈夫です。
まずはWebデザインを少し体験してみましょう。

無料のデザインツールを触ったり、本や動画を見ながら簡単なバナーを作ったりしてみてください。
実際に作ってみると、
「もっとやってみたい」
「思ったより面白い」
「これはあまり好きじゃないかも」
が見えてきます。
👉 グラフィックデザインを独学する方法|何から始めるか現役デザイナーが解説

スクールを選んだら、カリキュラムや課題を活用してください。
課題を提出する。
分からないことは質問する。
添削されたら直す。
シンプルですが、これを続ける人は伸びます。

一番伝えたいのはここです。
できれば毎日、少しでもデザインに触れてみてください。
作品を作るだけでなく、
「このサイトいいな」
「なぜこのバナーは目立つんだろう」
とデザインを見るだけでも違います。
最初から「向いている・向いていない」を決めるより、まず作ってみる。そこで楽しいと思えるかを見るのが一番分かりやすいです。
👉 未経験からデザイナーになる方法|6STEPロードマップ【2026年】
スクールに入っただけではデザイナーにはなれません。課題をやる、質問する、直す。そしてできれば毎日デザインに触れる!結局これが一番大事です(笑)。
まとめ|「やめとけ」より、自分が続けられそうかを見て判断しよう

Webデザイナーは、未経験から簡単に稼げる仕事ではありません。
デザインだけでなくWebの知識も必要ですし、クライアントに合わせた修正や、新しいことを学び続ける必要もあります。
特に、
- デザイン自体に興味がない
- 自分から手を動かさない
- 課題や添削を活かさない
- 自分の表現だけを優先したい
- 修正や改善をしたくない
という状態なら、Webデザイナーはしんどい仕事になると思います。
一方で、デザインが好きで、自分から作り、相手のためにもっとよくしようと考えられる人には、とても面白い仕事です。
「Webデザイナーはやめとけ」という言葉だけで諦める必要はありません。
まず小さくデザインを始めてみて、「もっと作りたい」と思えるかを確かめてから、自分の進路を決めてみてください。
「やめとけ」と言われたからやめる必要も、「人気の仕事だから」と無理に目指す必要もありません。まず作ってみて、自分が楽しめそうか。それを一番大切にしてほしいです。
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スクエアワークス中の人です。
- デザイナー歴26年(グラフィック・Web)
- 現役デザインスクール講師
- 会社員時代部署のトップ、採用立場経験あり
高校卒業 → 専門学校3ヶ月で中退(ほぼ行ってない)→ 運良く広告代理店の制作部に入社 → グラフィックデザイナーとしてフリーランスになる → Webデザインを学ぶ → 現在:グラフィック・Webデザイナーフリーランス兼スクール講師


