Webデザイナーとグラフィックデザイナーは、どちらも「デザインをする仕事」ですが、作るものや使うツール、仕事の進め方には違いがあります。
未経験から始めるなら、どちらを選んだ方がいいのか迷うところですよね。
私はグラフィックデザイナーからスタートし、その後Webデザインにも仕事を広げてきました。両方やってきた今だからこそ感じるのは、違いはあるけれど、デザインの基礎はかなり共通しているということです。
この記事では、仕事内容や必要なスキル、働き方まで比べながら、「自分はどっちを目指すとよさそうか」を分かりやすく整理していきます。
デザイナー歴26年、現役でデザインスクール講師もしているスクエアワークスの中の人です。Web・グラフィック両方の実務経験から、できるだけ分かりやすくお話ししますね。
Webデザイナーとグラフィックデザイナーの違いをまず一覧で比較

Webデザイナーとグラフィックデザイナーは、どちらもデザインをする仕事ですが、作るものや使うツール、必要な専門知識に違いがあります。
| 比較 | Webデザイナー | グラフィックデザイナー |
|---|---|---|
| 主に作るもの | Webサイト、LP、バナー、ECサイトなど | ロゴ、チラシ、パンフレット、名刺、パッケージなど |
| 主な媒体 | パソコン・スマホなどの画面 | 印刷物・看板・商品など |
| よく使う ツール | Figma、Photoshop、Illustratorなど | Illustrator、Photoshopなど |
| 特有の知識 | Webの仕組み、画面サイズ、場合によりHTML・CSSなど | 印刷、入稿、CMYK、解像度など |
| 納品後 | 公開後に修正・改善することも多い | 入稿・印刷後は簡単に直せないものも多い |
一番わかりやすく言えば、Webデザイナーは主に画面の中で使われるもの、グラフィックデザイナーは印刷物や形になるものを作る仕事です。
ただ、実際の仕事では境界が重なることもあります。
Webサイトで使うロゴや画像をグラフィックデザイナーが作ることもあれば、WebデザイナーがSNS画像やチラシまで担当することもあります。
まったく別の仕事というより、デザインの基礎は共通しながら、扱う媒体や専門知識が違うと考えるとわかりやすいです。
最初から細かい違いを全部覚えなくても大丈夫です。「Webサイトを作りたい」「ロゴや印刷物を作りたい」など、まず何を作ってみたいかで考えると選びやすいですよ。
何を作る?Webデザインとグラフィックデザインの一番わかりやすい違い

Webとグラフィックの違いを知るなら、まずは「何を作る仕事なのか」を見ると分かりやすいです。
- Webサイト
- LP
- ECサイト
- バナー広告
- SNS画像 など
Webデザイナーは、パソコンやスマートフォンなど画面上で見るデザインを作ることが中心です。
見た目を整えるだけでなく、「どこを押すのか」「次にどこを見るのか」「スマホでも見やすいか」など、実際に使う人の動きも考えながらデザインします。
- ロゴ
- 名刺
- チラシ
- パンフレット
- パッケージ など
グラフィックデザイナーは、印刷物や実際に形になるものを作ることが中心です。
チラシやパンフレットのように手に取るものだけでなく、ロゴやパッケージ、看板など、お店や会社の印象をつくるデザインに関わることもあります。
「Webサイトやバナーを作ってみたい」のか、「ロゴやパッケージなど形に残るものを作りたい」のかは、どちらを目指すか考える最初の判断材料になります。
私はグラフィックから始めましたが、パソコンの中で作ったものが実際の印刷物になって届く瞬間は今でも好きです。「何を作るとワクワクするか」は、進む分野を選ぶ大事なヒントになりますよ。
必要なツール・スキルはどう違う?デザインの基礎はどちらも共通

Webとグラフィックでは、使うツールや必要な専門知識に違いがあります。
- Figma
- Photoshop
- Illustrator
- Webの仕組み
- 画面サイズ
- レスポンシブ
- 必要に応じてHTML・CSS など
Webでは、パソコンやスマートフォンなどさまざまな画面サイズで見やすく使いやすいデザインを考えます。
デザインだけを担当する仕事もありますが、仕事内容によってはHTML・CSSなどコーディングの知識が求められることもあります。
- Illustrator
- Photoshop
- CMYK
- 解像度
- 塗り足し
- 印刷サイズ
- 入稿知識 など
グラフィックでは、デザインを作るだけでなく、きれいに印刷するための知識も必要です。
色の設定や画像の解像度、仕上がりサイズなどを確認し、印刷会社へ渡せるデータに仕上げます。
- レイアウト
- 配色
- 文字・フォント
- 余白
- 写真の扱い
- 情報整理
- ターゲットに合わせた表現 など
使うツールや専門知識は違っても、「誰に何を伝えるか」を考えて形にするデザインの基礎は共通しています。
Webだからレイアウトを知らなくていい、グラフィックだから情報整理が必要ない、ということではありません。
IllustratorやFigmaなどの操作を覚えることも必要ですが、ツールはあくまでデザインを形にするための道具です。
どちらを目指す場合も、ツール操作と一緒にデザインの基礎を身につけることが大切です。
ツールが使えることと、デザインができることは別です。レイアウトや配色、文字、余白などの基礎はWebでもグラフィックでも使うので、最初にしっかり身につけておくと後から仕事の幅も広げやすいですよ。
実際の仕事はどう進む?Web・グラフィック両方の現場から比較

Webとグラフィックでは、デザインを作ったあとの仕上げ方や納品方法にも違いがあります。
- デザイン
- 実装、またはコーダーへデータ共有
- PC/スマホで表示確認
- リンク・ボタンなどの動作確認
- 公開
- 必要に応じて修正・改善
Webは、デザインしたものを実際のWebページとして公開して完成です。
案件によってはデザイナー自身が実装まで担当することもあれば、デザインデータをコーダーやエンジニアへ渡すこともあります。
公開したあとも文章や画像を差し替えたり、使いやすさを見ながら改善したりできるのがWebの特徴です。
- デザイン
- 入稿データ作成
- 印刷会社の仕様確認
- 入稿
- 印刷物の確認
- 必要に応じて完成品を納品
グラフィックには、Webにはない**「入稿」**という工程があります。
入稿とは、完成したデザインを、印刷会社で正しく印刷できるデータに仕上げて渡すことです。
印刷会社によって入稿ルールが異なることもあるため、データを作る前や入稿前には仕様を確認します。
特にWebとグラフィックの両方を扱うときは、
- RGBとCMYKなどのカラー
- pxとmmなどの単位
- 画像の解像度
- 仕上がりのサイズ
- 塗りたし
- 入稿データの設定
などをきちんと切り替える必要があります。
たとえば、Webでは問題なく見える画像でも、印刷すると解像度が足りず粗く見えることがあります。逆に、印刷用の大きな画像をそのままWebで使えば、データが重くなってしまいます。
グラフィックはデータだけを納品する案件もあれば、印刷会社へ発注し、完成した印刷物までクライアントへ届けることもあります。
印刷してからミスに気づいても、Webのようにその場で修正することはできません。
グラフィックは「デザインができたら終わり」ではなく、正しく印刷できるデータに仕上げるところまで含めて仕事です。
Webと紙を両方扱うと、色・単位・解像度の切り替えは本当に大切です。特に印刷はあとから簡単に直せないので、今でも入稿前はサイズや画像、カラー設定まで慎重に確認しています。
働き方・求人・将来性で比べると、どんな違いがある?

Webデザイナーもグラフィックデザイナーも、会社員として働くほか、経験を積んでフリーランスとして働くこともできます。
ただし、働く場所や仕事の受け方には少し違いがあります。
- Web制作会社
- 一般企業のWeb・制作部門
- インハウスデザイナー
- フリーランス
- テレワークができる職場もある
Webデザインはパソコン上で進める作業が多く、比較的テレワークとも相性のよい仕事です。
制作会社だけでなく、一般企業のWeb担当や制作部門、フリーランスなど、働き方の選択肢も広がっています。
- 広告会社
- デザイン事務所
- 一般企業の制作部門
- フリーランス
- 印刷・広告・店舗に関わる制作 など
グラフィックデザインは、広告や印刷物だけでなく、ロゴやパッケージ、店舗まわりの制作など幅広い仕事に関わります。
印刷会社や広告会社とやり取りすることも多く、完成物まで確認する案件では、Webよりも物理的な納品に関わる場面があります。
紙媒体が以前より減っている分野はあります。
だからといって「グラフィックは将来仕事がなくなるから、Webを選んだ方がいい」とは思っていません。
実際の仕事でも、ロゴ、名刺、看板、パンフレット、メニュー、パッケージなど、会社やお店にグラフィックデザインが必要になる場面は今もたくさんあります。
一方、Webもずっと同じ仕事の形が続くわけではありません。
ノーコードツールや生成AIが増えて、以前より簡単にWebサイトや画像を作れるようになりました。だからこそ、ツールを使えるだけでなく、誰に何を伝えるのかを考えて、良し悪しを判断できる力がより大切になっています。
「将来性がありそうだからWeb」と決めるより、自分の得意分野を持ちながら、変化に合わせてスキルを広げていくことの方が大切です。
Webかグラフィックかは、あくまで最初の入口です。
どちらから始めても、あとからもう一方を学んだり、マーケティングやディレクションなど周辺のスキルへ広げたりできます。
「紙はなくなる」と私が仕事を始めた頃から何度も聞いてきましたが、今もグラフィックの仕事はあります。Webも変化し続けているので、媒体より変化に合わせて学び続けられることが大切だと感じます。
Webデザイナーとグラフィックデザイナー、あなたに向いているのはどっち?

ここまで読んでも迷うなら、「何を作りたいか」だけでなく、仕事のどんな部分に面白さを感じるかで考えてみると選びやすくなります。
- Webサイトやバナーを作りたい
- マーケティングにも興味がある
- 数字を見るのが好き
- 作ったあとの結果も知りたい
- 改善を繰り返すことが苦にならない
Webデザインは、公開して終わりではありません。
たとえば、
「このページに変えたら問い合わせが増えた」
「こちらのバナーの方がクリックされた」
など、デザインの結果を数字で確認しながら改善できるのがWebならではの面白さです。
デザインそのものには一つの正解がありませんが、Webでは数字を見ながら「よりよい結果」を探していけます。
- ロゴやパッケージ、印刷物を作りたい
- ものづくりが好き
- 形に残るものに魅力を感じる
- 細かな部分まで仕上げるのが好き
- 印刷物が完成することにワクワクする
グラフィックデザインは、パソコンの中で作ったものが、ロゴや名刺、パンフレット、パッケージなど実際の形になることが大きな魅力です。
細かな文字の位置や余白、色の見え方まで調整しながら仕上げていくので、ものづくりそのものが好きな人には面白い仕事だと思います。
「自分が作ったものを実際に手に取ってみたい」と感じるなら、グラフィックデザインから始めてみるのもおすすめです。
Webとグラフィック、どちらを選んでも共通して必要なのが、自分の好きなものを作るだけではなく、相手の目的に合わせて考えることです。
商業デザインでは、
- 誰に見てもらうのか
- 何を伝えたいのか
- どんな印象を持ってほしいのか
- そのデザインで何を達成したいのか
を考えながら作ります。
自分の世界観を自由に表現することを一番大切にしたい場合は、クライアントの目的に合わせる商業デザインよりも、アートやイラストなど別の表現方法の方が合うこともあります。
「何を作りたいか」と同じくらい、「誰かの目的に合わせて考えることを楽しめるか」も、デザイナーを目指すときの大切な判断材料です。
Webは数字を見ながら改善する面白さ、グラフィックはものが形になる面白さがあります。どちらも共通するのは、自分のためではなく「相手に伝わるデザイン」を考える仕事だということです。
Webとグラフィックは両方できる?私はグラフィックからWebへ広げました

私の経験上、Webとグラフィックの両方ができるメリットはかなり大きいです。
たとえば、新しくお店を立ち上げる仕事なら、
ロゴ → 名刺 → 看板・メニュー → パンフレット → Webサイト
と、紙とWebをまとめて一貫して担当できます。
同じデザイナーが担当すると、色や文字、写真、全体の雰囲気をそろえやすくなり、お店や会社の見え方にも統一感を出しやすくなります。
クライアントにとっても、「名刺はAさん、パンフレットはBさん、WebはCさん」と複数の人へ同じ説明をする必要がありません。
デザインを統一しやすいことに加えて、クライアントのコミュニケーションコストを減らせるのも、両方できる大きなメリットです。
私自身はグラフィックデザインから仕事を始め、そのあとWebデザインへ広げてきました。
今振り返っても、私はグラフィックから学んでよかったと思っています。
レイアウト、配色、文字、余白、情報整理など、グラフィックで身につけたデザインの基礎は、そのままWebでも使えたからです。
さらに、
- 印刷
- カラー
- 解像度
- 入稿
などの知識も持っているので、Webと紙をまとめて依頼されたときにも対応しやすくなりました。
Webを学んだからグラフィックが不要になるわけでも、グラフィックを学んだからWebへ進めないわけでもありません。
一方をしっかり学んだ経験は、あとからもう一方へ広げるときにも役立ちます。
両方できるメリットはありますが、初心者が最初からWebとグラフィックを同時に学ぶ必要はありません。
使うツールや専門知識にも違いがあるので、最初から全部覚えようとすると混乱しやすくなります。
まずは興味のある方を一つ選び、デザインの基礎とその分野に必要なスキルを身につける。そこから必要に応じて仕事の幅を広げれば十分です。
私はグラフィックからWebへ広げましたが、今でもこの順番でよかったと思っています。最初から両方できなくても大丈夫。まず一つをしっかり学んでおくと、あとから広げやすいですよ。
未経験なら「稼げる方」より、まず作りたいものから選んでみよう

Webとグラフィックのどちらを目指すか迷うと、
「どっちの方が稼げる?」
「どっちの方が仕事が多い?」
という違いも気になると思います。
もちろん、仕事の多さや収入も大切です。
ただ、未経験の段階では「稼げそうだから」だけで決めるより、自分が作ってみたいものや、興味を持てる仕事から選ぶことをおすすめします。
- Webサイトを作ってみたい
- バナーやLPに興味がある
- Webやマーケティングが好き
- 公開後の数字を見ながら改善してみたい
- ロゴを作ってみたい
- チラシやパンフレットが好き
- パッケージデザインに興味がある
- 印刷されて形になるものを作ってみたい
どちらにも興味があるなら、今いちばん作ってみたいものがある方から始めればOKです。
ここまで見てきたように、Webとグラフィックでは使うツールや専門知識に違いがありますが、レイアウト・配色・文字・情報整理など、デザインの基礎には共通する部分がたくさんあります。
そのため、最初にWebを選んだからグラフィックへ進めない、グラフィックを選んだからWebができない、ということではありません。
私自身もグラフィックから始めて、あとからWebへ仕事を広げてきました。
最初の選択を「これからずっとどちらか一つ」と考えなくても大丈夫です。
まず一つの分野でデザインの基礎と必要なスキルを身につけて、興味や仕事に合わせてあとから広げていけばいいと思います。
どちらを目指すか決まったら、次は「どうやって学ぶか」を考えていきましょう。
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最初の選択を難しく考えすぎなくて大丈夫です。まず「これを作ってみたい」と思える方から始めて、一つずつ身につけていけば、あとから仕事の幅は広げられますよ。
まとめ|違いを知ったら、自分が作りたいものから選べばOK

Webデザイナーとグラフィックデザイナーは、作るものや使うツール、専門知識、納品方法に違いがあります。
ただし、レイアウト・配色・文字・余白・情報整理など、デザインの基礎はどちらにも共通しています。
- Webデザイン:Webサイトやバナーを作りたい、数字を見ながら改善することにも興味がある
- グラフィックデザイン:ロゴや印刷物など、形に残るものづくりが好き
- どちらにも共通:クライアントの目的やターゲットに合わせて考える力が必要
迷ったら、「どちらが有利か」よりも「自分は何を作ってみたいか」から選んでみてください。
最初からWebとグラフィックの両方を学ぶ必要はありません。
まず興味のある分野でデザインの基礎を身につけて、必要になったときにもう一方へ広げていけば大丈夫です。
Webとグラフィックの違いが分かったら、次は自分に合った学び方を考える段階です。
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最初に選んだ方を一生続けなければいけないわけではありません。まず興味のある分野で基礎を身につけて、仕事や興味に合わせて少しずつ広げていけば大丈夫ですよ。
スクエアワークス中の人です。
- デザイナー歴26年(グラフィック・Web)
- 現役デザインスクール講師
- 会社員時代部署のトップ、採用立場経験あり
高校卒業 → 専門学校3ヶ月で中退(ほぼ行ってない)→ 運良く広告代理店の制作部に入社 → グラフィックデザイナーとしてフリーランスになる → Webデザインを学ぶ → 現在:グラフィック・Webデザイナーフリーランス兼スクール講師

