「デザインを学びたいけれど、数十万円の受講料が高すぎて、なかなか一歩を踏み出せない…」そんなあなたに朗報です。
実は、受講料の最大70%が国から支給される支援制度があるのをご存知でしょうか?
それが、国が働く人のキャリアアップを支援する「教育訓練給付制度」です。
本記事では、デザイナー歴25年、現役デザインスクール講師の視点から、制度の全容(給付金の種類、対象講座の探し方、給付条件)をどこよりも分かりやすく解説します。
この記事を読めば、高額なデザインスクール費用を実質半額以下にする道筋と活用する場合の注意点が見えますよ。
教育訓練給付制度とは、厚生労働大臣が指定する講座を受講・修了した場合、受講費用の一部が国から支給される(還付される)制度です。この制度を利用すれば、デザインスクールやWebスキル講座の費用負担を大きく減らせます。
給付金は受講開始時にもらえるわけではなく、後払い方式です。
- 受講生がスクールに受講料を全額支払う。
- 講座を修了する(出席率や課題提出などの要件を満たす)。
- ハローワークに申請手続きを行う。
- 指定の口座に給付金が振り込まれる。
受講前に全額を支払う必要があるため、初期費用の準備は必要ですが、要件を満たせば費用の一部が戻ってきます。
教育訓練給付制度には、給付率や対象講座の専門性に応じて3つの種類があります。受講を検討している講座がどの給付金に該当するかで、戻ってくる金額が大きく変わるため、必ず確認しましょう。
給付金の種類 | 最大給付率 | 支給上限額 | 主な対象講座 |
---|---|---|---|
① 専門実践 | 最大70% | 年間56万円 (最大168万円) | 体系的・長期的にキャリア形成を目指す専門性の高い講座 |
② 特定一般 | 最大40% | 10万円 | 短期間で転職・キャリアアップを目指す専門性の高い講座(リスキリング系) |
③ 一般 | 最大20% | 10万円 | 幅広いスキルアップを目的とした講座 |
- 専門実践教育訓練給付金(最大70%)
最も手厚い給付金で、給付率は受講費用の50%。さらに、資格取得や受講修了後に1年以内に就職した場合(雇用保険に加入した場合)は、追加で20%が支給され、合計で最大70%が戻ってきます。
▶︎【厚生労働省】専門実践訓練の指定講座(令和7年10月1日付け指定) - 特定一般教育訓練給付金(最大40%)
2019年に新設された制度で、デジタル技術や高度な専門知識など、短期でのキャリア形成に直結する講座が対象です。給付率は40%と高めに設定されています。
▶︎【厚生労働省】特定一般教育訓練の指定講座(令和7年10月1日付け指定) - 一般教育訓練給付金(最大20%)
基本的なスキルアップを目指す講座が対象です。給付率は20%で、比較的幅広いデザインやWeb系の講座が該当します。
給付金を利用するには、雇用保険の加入期間や受講開始時の状況など、いくつかの要件を満たす必要があります。最新の要件をハローワークなどで確認することが前提ですが、主な条件は以下の通りです。
利用回数 | 期間要件 |
---|---|
初回利用 | 受講開始日までに雇用保険の被保険者期間が2年以上あること。 (離職中の場合は離職日の翌日から1年以内であること) |
2回目以降 | 前回の給付金利用から、3年以上が経過していること。 |
- 在職者(現在働いている人):受講開始日に雇用保険の被保険者であること。
- 離職者(現在離職している人):離職日の翌日から受講開始日までが1年以内であること。
(制度の最新要件は、必ず厚生労働省やハローワークで都度確認が必要です。)
「スクール名」だけで対象だと判断するのは危険です。給付金制度の指定は「講座単位」で行われるため、必ず以下の手順で確認しましょう。
- 厚生労働省の「教育訓練給付制度 検索システム」で講座名を検索する
kyufu.mhlw.go.jp
この検索システムが最も確実です。スクールの正式名称ではなく、講座名で検索しましょう。 - スクールの公式サイトで確認する
公式サイトや募集ページに「教育訓練給付制度対象講座」と明記されているか確認します。 - スクールに直接問い合わせる
「検討中の〇〇コースは、専門実践(または特定一般)給付金の対象ですか?」と直接確認し、指定講座の通知を受けているか聞きましょう。
給付金は、講座を修了したことに対する支援です。単にお金を払うだけでなく、スクールが定める修了要件(例:出席率80%以上、すべての課題提出、修了試験の合格など)を満たさないと、給付金は支給されません。最後までやり遂げる覚悟が必要です。
近年、政府は「リスキリング(学び直し)」支援を強化しており、教育訓練給付金以外にも利用できる制度が増えています。
【教育訓練給付金だけじゃない!】Webスキルで使える主な公的支援制度
「Webスキルを身につけたい」という方々に人気のオンラインスクールや短期集中型スクールの中には、教育訓練給付金の指定講座に含まれていない ものも少なくありません。
これは、迅速なカリキュラム改変や提供形態の特性により、給付金の指定要件を満たしていなかったり、あえて申請していなかったりするためです。
しかし、その一方で、リスキリングを推進する国の支援制度や、自治体が提供する助成・補助金制度 と連動し、受講料の一部補助を受けられるケースもあります。
そのため、「教育訓練給付金の対象外=支援が一切受けられない」というわけではなく、別の制度を通じて負担を軽減できる可能性があります。
支援制度名 | 所管省庁 | 概要と活用可能性 |
---|---|---|
リスキリング支援事業 | 経済産業省(経産省) | 社会人の学び直しを支援する制度。IT・Webデザイン・マーケティング系の講座が補助対象となることがあります。スクールが経産省の指定を受けている場合に利用可能です。 |
第四次産業革命スキル習得講座認定制度 (Reスキル講座) | 経済産業省(経産省) | AI、IoTなどの高度ITスキル習得を目指す講座を経済産業大臣が認定する制度。この認定を受けた講座は、専門実践教育訓練給付金の対象となり、給付率が最大70%に達します。 |
求職者支援訓練制度 | 厚生労働省(厚労省) | 就職活動中や雇用保険を受給できない人向けの職業訓練制度。無料または低額で受講でき、条件を満たせば月10万円程度の生活支援給付を受けられる場合もあります。 |
自立支援教育給付金 | 厚生労働省(厚労省) 自治体 | ひとり親家庭の母又は父。雇用保険による給付金の受給資格がない場合に、受講料の60%(上限あり)を自治体から支給。(雇用保険給付金との差額支給もあり)。 |
高等職業訓練促進給付金 | 厚生労働省(厚労省) 自治体 | 資格取得に必要な養成機関で修業する期間中、生活費相当の給付金を月額で支給。Web系資格ではシスコシステムズ認定資格、LPI認定資格などが対象となる場合がある。 |
このように、「教育訓練給付金」以外にも、個人の状況や目的に応じた支援制度が存在します。制度活用を考える方は、「どの制度とスクールが連動しているか」を個別に確認するのがおすすめです。
以下は、少なくとも一部の講座で給付金や支援制度の対象となっている実績が確認できたスクール・講座の事例です。
スクール | 講座 | 対象制度 | 特記事項 |
---|---|---|---|
ヒューマンアカデミー | Webデザイナー コースなど | リスキリングを通じた キャリアアップ支援事業 一般教育訓練給付制度 自立支援教育給付金 高等職業訓練促進給付金 | 該当コースの案内が多数あり、給付金利用の実績が豊富 |
インターネット・アカデミー | Reスキル講座 ブランドデザイン 実践コース Webデザイナー 総合コースなど | 第四次産業革命スキル習得講座認定制度 専門実践教育訓練給付金 | 社会人が高度な専門性を身に付けキャリアアップを図る、専門的・実践的な教育訓練講座として経済産業大臣の認定を受けた講座です。 |
デイトラ | リスキリング 転職コース | リスキリングを通じた キャリアアップ支援事業 | 受講費用の50%(税抜)が受講開始時点で補助金が適用されます。 |
デジLIG | Webデザイナー専攻 総合デザイン実践プラン グラフィックデザイン就職プラン グラフィックデザイン講座 Webデザインベーシック講座 即戦力デザイン集中講座 主婦ママクラス UIデザインプラン | リスキリングを通じた キャリアアップ支援事業 | 対象コースの受講を修了した方に受講料(入学金+コース料金)の50%(上限40万円)を補助。 さらに受講終了後に指定のエージェントもしくはLIGの職業斡旋を用いて転職成功+1年間勤続された方は追加で受講料金の20%(上限16万円)を補助。 |
ただし、対象講座や給付金の種類、募集時期によって変わる可能性が極めて高いので、必ずあなた自身で最新確認を行ってください。
教育訓練給付制度は、指定講座なら受講料の一部が還付される可能性がある、非常に有用な制度です。
- 対象になるのはスクール全体ではなく「講座単位」であるため、必ず厚労省の検索システムで確認しましょう。
- 専門実践(最大70%)など、給付率の高い制度もありますので、自分の受講したい講座が対象なのか確認してみましょう。
「日本デザインスクール(デザスク)」など、たとえ給付金対象外であったとしても、人気が高いスクールが多数存在します。給付金制度の有無だけでスクールを選ぶのではなく、最終的な費用対効果で判断することが、最適な自己投資に繋がります。
未経験からデザイナーになる完全ガイド|デザイン歴25年のプロが全て教えます
自分にとって「短期間での実績」「学習の継続性」というメリットが大きいかを総合的に比較検討しましょう。

自分が受講したい講座が給付金や支援を受けられるかは必ずチェックしましょう!
(地方の小さなスクールでも教育給付金制度対応の講座あるよ)