Webデザイナーになるために、資格は必須ではありません。
私はデザイナーとして26年仕事をしてきましたが、資格を求められたことはありませんし、採用に関わったときも、資格よりまず作品を見てきました。
それでも講師をしていると、「資格はなくても大丈夫ですよ」と伝えても、資格を取りたいという生徒さんは本当に多いです。
「勉強した証明がほしい」「就職に有利そう」「給付金を使って受講料を抑えたい」など、資格が選ばれるのには理由があります。特に学生なら、実務経験が少ない分、資格を持つ意味もあると私は思っています。
この記事では、資格が必要かどうかだけでなく、なぜ未経験者は資格を取りたくなるのか、資格より優先したいものは何か、それでも取るならどんな資格があるのかまで、採用・講師経験をもとに本音で解説します。
りす先生は、デザイナー歴26年、現役でデザインスクール講師もしているスクエアワークスの中の人です。実際の現場目線で、良いところも合わない点も、忖度なしでお話ししますね。
結論!Webデザイナーに資格は必須ではない

最初に結論から言うと、Webデザイナーになるために資格は必須ではありません。
私はデザイナーとして26年仕事をしてきましたが、仕事を受けるときに「この資格を持っていますか?」と聞かれたことはありません。
周りの現役デザイナーを見ても、資格を仕事の強みにしている人はほとんど見かけません。むしろ私の身近でデザイン系の資格を持っていたのは、デザイナーというより、パソコン教室などでPhotoshopやIllustratorの操作を教えている人でした。
もちろん、資格に意味がないわけではありません。
ただ、資格で証明しやすいのは「知識やツール操作を学んだこと」であって、「仕事としてデザインできること」とは別だと私は考えています。
講師をしていると、資格取得を目標に勉強してきた生徒さんに出会うこともあります。
PhotoshopやIllustratorの機能を知っていて、テキスト通りの操作はできる。それでも、
「では、この文章と写真を使ってバナーを一から作ってみましょう」
となると、手が止まってしまうことがあります。
デザインでは、
- 誰に向けて作るのか
- 何を一番伝えるのか
- どの情報を目立たせるのか
- 文字や写真をどう配置するのか
- どんな配色が目的に合うのか
を自分で考えなければなりません。
これは、ツールの機能を覚えるだけでは身につきません。
資格は「勉強した証明」にはなります。でも「仕事としてデザインできる証明」ではありません。
私は制作会社で採用に関わった経験もありますが、デザイナーを採用するときに資格の有無を決め手にしたことはありません。
私が先に見るのは、ポートフォリオです。
作品を見ると、
- デザインの基礎が身についているか
- ターゲットや目的を考えているか
- 情報を整理できているか
- 自分で一から制作できるか
- どんなデザインを得意としているか
がかなり見えてきます。
資格が書いてあれば「きちんと勉強したんだな」という材料にはなります。ただ、デザイン職の採用なら、私はそれより「実際に何を作れるのか」を重視します。
資格とポートフォリオのどちらか一つを選ぶなら、私はポートフォリオを選びます。デザイナーの仕事は、資格を見せることではなく、デザインを作ることだからです。
さらに、デザイナーの仕事は作品を作るだけではありません。
クライアントの話を聞いて、
「本当は何を伝えたいのか」
「誰に届けたいのか」
「なぜこの修正が必要なのか」
を理解しながら制作を進めます。
修正依頼に対応したり、スケジュールを守ったり、自分の考えを説明したりする力も必要です。
こうしたヒアリング力やコミュニケーション力も、資格試験だけでは判断できません。
だから私は、Webデザイナーを目指す社会人に「まず資格を取りましょう」とは勧めていません。
資格を取る時間があるなら、まずデザインの基礎を学び、実際に作品を作って、添削を受けて直す。仕事を目指すなら、そちらの方を優先してほしいと思っています。「ヒアリング力」や、チームで動ける「コミュニケーション能力」です。これらは、資格の勉強では決して身につきません。
なぜ「資格はいらない」と言っても、取りたい人が多いのか?

ここまで「Webデザイナーに資格は必須ではない」と書いてきましたが、講師をしていると、それでも資格を取りたいという生徒さんは本当に多いです。
私自身、何度も「デザインの仕事をするなら、資格より作品を作れるようになることの方が大事ですよ」と伝えてきました。
それでも資格が選ばれるのは、資格そのものに価値を感じているというより、未経験だからこその不安や、受講費を抑えたい気持ち、就職に少しでも有利になりたい気持ちがあるからだと思っています。
資格を取ること自体が悪いわけではありません。ただ、何を優先するかは考えてほしいところです。
未経験からWebデザインを学び始めると、自分がどのくらいできるようになったのか分かりにくいものです。
デザインには、「ここまでできたら合格」という分かりやすい基準がありません。
その点、資格には試験があり、合格・不合格という結果が出ます。
「資格を取れたから、ここまでは勉強できた」
「履歴書に書けるものが増えた」
という安心感はあります。
特にまだ作品が少ない人にとって、目に見える成果が欲しくなる気持ちはよく分かります。
私も、資格取得を学習の目標にすることまで否定するつもりはありません。
ただし、デザイナーを目指すなら、資格を取ったところで勉強を終わらせないこと。
資格を取ったあとに、自分で作品を作れるところまで進むことが大切です。
これは、講師をしていて本当によく感じます。
スクールを検討している生徒さんと話していると、
「この講座は給付金の対象ですか?」
「資格は取れますか?」
という質問はかなり多いです。
講師をしていると、「資格が取れるか」と同じくらい「給付金が使えるか」を重視する人は本当に多いです。
中には、どんな作品を作れるようになるかより、受講料がいくら戻るかを先に気にする人もいます。
受講料は大きな負担なので、その気持ちはよく分かります。利用できる制度を使うことにも賛成です。
ただ、デザイナーを目指してスクールへ通うなら、安く受講することがゴールではありません。
私なら、まず「デザイン力を伸ばせるか」「作品を作れるか」「きちんと添削してもらえるか」を見ます。そのうえで給付金も使えるなら、とてもいい条件だと思います。
給付金が使えるからスクールを選ぶのではなく、自分に合うスクールを選んだ結果、給付金も使えた。私はこの順番で考えてほしいです。
給付金の対象条件や対象スクールについては、制度が少し複雑なので、別の記事で詳しくまとめています。
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「資格を持っていた方が、未経験でも就職しやすいのでは?」
と考える人も多いと思います。
資格が履歴書に書いてあれば、採用する側も「この分野について勉強したんだな」と判断する材料にはなります。
なので、資格がまったく意味を持たないとは思いません。
ただ、私がデザイナー採用に関わっていたとき、資格を持っているから採用しようと判断したことはありませんでした。
デザイン職なら、やはり気になるのは、
「どんな作品を作っているのか」
「自分で考えてデザインできるのか」
「なぜこのデザインにしたのか説明できるのか」
という部分です。
もし同じ未経験者でも、
資格は持っているけれど、見せられる作品がほとんどない人と、
資格はないけれど、目的を考えて作った作品をポートフォリオで見せられる人
がいたら、私は後者の作品をまず詳しく見ます。
資格は、就職活動で使える補助材料にはなります。
でも、デザイン職を目指すなら、資格を「就職できる切符」のように考えない方がいいです。
資格を取りたい理由を聞くと、「安心したい」「安く学びたい」「就職に有利そう」という答えが多いです。その気持ちは分かります。でも、Webデザイナーを目指すなら、最後はやっぱり「何を作れるか」。資格を取ることが目的にならないようにしてほしいと思っています。
学生ならWebデザインの資格を取るのもあり

ここまで「資格よりポートフォリオを優先したい」と書いてきましたが、学生の場合は少し考え方が変わります。
社会人であれば、これまでの仕事や経験、実績を履歴書や面接で伝えられます。
一方、学生はまだ実務経験がなく、就職活動でアピールできる材料も多くありません。
だからこそ、
「WebやITについて勉強したことがある」
「一定の知識を身につけている」
ことを示す材料として、資格を取るのはありだと思っています。
資格取得を目標にすれば、学習する範囲も分かりやすくなりますし、勉強を続けるきっかけにもなります。
特に、まだポートフォリオに載せられる作品が少ない学生なら、履歴書に書ける資格が一つあることは安心材料になるでしょう。
ただし、Webデザイナーやグラフィックデザイナーとして就職したいなら、資格だけで終わらせないでください。
デザイン職の採用では、やはり「何を作れるのか」が重要です。
実務経験がなくても、
- 学校で制作した課題
- 自分で考えた架空案件
- バナーやWebサイトの自主制作
- コンペやコンテストに応募した作品
などを使って、ポートフォリオを作ることはできます。
私が採用する側なら、資格の欄だけを見るより、作品を見て、
「どう考えて作ったのか」
「誰に向けたデザインなのか」
「どこを工夫したのか」
を知りたいです。
そのため、学生には
資格かポートフォリオか、どちらか一つを選ぶのではなく、資格+ポートフォリオ
を目指してほしいと思っています。
資格で基礎知識を学び、それを実際の制作で使ってみる。この組み合わせなら、資格取得の勉強も無駄になりません。
学生なら資格取得はあり。ただし、デザイン職を目指すなら最後は作品まで作る。
逆に、すでに社会人で未経験からWebデザイナーへ転職したい人なら、私は資格取得に時間を使うより、デザインの基礎を学び、オリジナル作品を作ってポートフォリオを充実させることを優先します。
学生なら、資格を取ることには賛成です。まだ実務経験がない分、「これを勉強しました」と示せるものがあるのは強みになります。ただ、デザイン職を目指すなら資格だけではもったいないです。学んだことを使って、ぜひ作品まで作ってください。
資格より先に身につけたい「デザイナー」の3つの力

資格を取ること自体は悪くありません。
ただ、Webデザイナーとして仕事をしたいなら、私は資格より先に身につけてほしい力があります。
講師をしていても、資格やツール操作の知識はあるのに、実際の制作になると「何をどう作ればいいか分からない」という人は少なくありません。
デザインの仕事では、覚えた知識を使って、目的に合ったものを自分で作れることが必要です。
私が特に大事だと思っているのは、次の3つです。
デザインは、ただ見た目をきれいにする仕事ではありません。
「誰に向けて作るのか」
「何を一番伝えたいのか」
「見た人にどう行動してほしいのか」
を考えたうえで、文字の大きさ、配色、写真、レイアウトを決めていきます。
たとえば同じ「女性向けのバナー」でも、20代向けなのか50代向けなのか、化粧品なのか転職サービスなのかで、合うデザインは変わります。
資格試験の勉強では、正解が決まっている問題を解くことが多いですが、実際のデザインには「これだけが正解」というものがありません。
だからこそ、
なぜこの色にしたのか
なぜこの文字を一番大きくしたのか
なぜこの配置にしたのか
を、自分で考えられる力が必要です。
私は添削でも、単に「ここを大きくしてください」と伝えるだけではなく、「なぜ大きくする必要があるのか」まで理解してもらうことを大切にしています。
その理由が分かれば、次の制作でも自分で判断できるようになるからです。
ツールを使えることより、「なぜこのデザインにしたのか」を説明できることの方が大切です。
PhotoshopやIllustrator、Figmaの操作を覚えることも必要です。
でも、操作方法を知っているだけでは仕事にはなりません。
実際の仕事では、
「この商品を紹介するバナーを作ってください」
「この内容でWebページを作ってください」
と素材や原稿を渡されて、そこから自分でデザインを組み立てます。
見本と同じものを作る練習は、ツールを覚える段階ではとても役立ちます。
ただ、模写やテキスト通りの課題だけを続けていても、ゼロから作る力は身につきにくいです。
ある程度ツールが使えるようになったら、
- 架空の商品やサービスを設定する
- ターゲットを決める
- 伝える内容を整理する
- 自分でレイアウトを考える
- 最後まで一つの作品として仕上げる
という制作に進んでほしいと思っています。
講師をしていると、「Photoshopは使えます」と言っていた人でも、オリジナル作品になると急に難しく感じることがあります。
それはおかしなことではありません。
ツール操作を覚える段階と、デザインを考えて作る段階は別だからです。
ここを乗り越えて、初めて仕事に近い練習になっていきます。
そして、もう一つ大事なのが、作ったものを直す力です。
最初から完成度の高いデザインを作れる初心者は、ほとんどいません。
私自身も仕事では、作って終わりではなく、クライアントから修正が入ることがあります。
デザインを学ぶ段階でも同じで、
作る → 添削を受ける → 修正する → もう一度確認する
という繰り返しが、とても重要です。
講師として見ていても、伸びる人は「一度作ったから終わり」にしません。
指摘された部分を直して、
「どうして前より良くなったのか」
まで考えています。
反対に、作品数だけ増やしても、毎回同じところでつまずいていると、なかなかデザインは変わりません。
私は資格取得の勉強に時間を使うなら、そのうちの何時間かでもいいので、オリジナル作品を作って、第三者から添削を受け、修正する経験に使ってほしいと思っています。
資格試験に合格したら勉強が終わるわけではありません。
Webやデザインの仕事は変化が早く、ツールも表現も更新されていきます。仕事を始めてからも、学び続けることは必要です。
資格は「ここまで勉強した」という区切りにはなります。でも、デザイナーとして力がつくのは、やっぱり自分で考えて作って、直したときです。資格勉強だけで満足せず、必ず制作までつなげてほしいと思っています。れがちです。今の現場で流行っているデザインやAIツールの活用法をキャッチアップし続ける姿勢こそが、プロの証です。
それでも資格を取りたい人へ|Web・デザイン系の主な資格

ここまで資格よりデザイン力を優先した方がいいと書いてきましたが、目的があって資格を取ることには反対していません。
資格の勉強をきっかけに、これまで曖昧だった知識を整理できることもあります。学生なら、就職活動で「この分野について勉強した」という材料にもなります。
ただし、資格によって証明できることはそれぞれ違います。
「Webデザイナー向けの資格だから、取ればデザイン力が身につく」と考えず、何を学ぶ資格なのかを確認してから選んでください。
| 資格・検定 | 向いている人 | 私の考え |
|---|---|---|
| ウェブデザイン技能検定 | Webの知識・技能を体系的に学びたい人 | 国家検定を目標に勉強したいならあり |
| Webクリエイター能力認定試験 | HTML・CSSを含むWeb制作を学びたい人 | コーディングも学びたい人向け |
| Adobe Certified Professional | Photoshop・Illustratorの操作を学びたい人 | Adobeアプリのスキル確認にはあり |
| ITパスポート | IT全般の基礎を学びたい学生・初心者 | デザイン資格ではないが、学生にはあり |
| 色彩検定・カラーコーディネーター検定 | 色を体系的に学びたい人 | 知識を実際のデザインに使えるならあり |

ウェブデザイン技能検定は、厚生労働省の技能検定制度に基づいて実施されている国家検定です。
1級・2級・3級があり、学科と実技を通して、Webデザインに関する知識・技能や実務能力が問われます。合格すると「ウェブデザイン技能士」の合格証書が発行されます。
「せっかく資格を取るなら、国家検定に挑戦したい」という人には分かりやすい選択肢です。
Webに関する知識を体系的に整理するという意味でも、学習目標として使うのはありだと思います。
ただし、ここまで読んでくださった方なら分かると思いますが、国家検定に合格したことと、魅力的なWebデザインをゼロから作れることは同じではありません。
私なら、転職を目指す社会人が資格取得と作品制作のどちらか一方しかできないなら、やはり作品制作を優先します。

Webクリエイター能力認定試験は、サーティファイが実施している民間資格です。
現在はスタンダードとエキスパートがあり、HTML・CSSを使ったWebページ制作を中心に、Webサイトのデザインやコーディング能力を測る試験です。エキスパートでは、ユーザビリティやアクセシビリティ、色彩設計なども出題範囲に含まれています。
名前に「Webクリエイター」と入っていますが、PhotoshopやFigmaでデザインを作ることだけを学ぶ資格ではなく、HTML・CSSによるWeb制作まで含むのがポイントです。
そのため、
「Webデザインだけでなくコーディングも勉強したい」
「HTML・CSSをどこまで理解できているか確認したい」
という人には合っています。
逆に、デザイン力を伸ばすことが一番の目的なら、資格対策だけで満足せず、オリジナルのWebデザイン制作も並行してほしいです。

アドビ認定プロフェッショナルは、Adobeが認定する資格です。
日本ではPhotoshopやIllustratorなどの試験があり、選択問題だけでなく、実際のAdobeアプリを操作する問題も出題されます。PhotoshopとIllustratorの両方に合格すると「Adobe Certified Professional in Visual Design」の認定も受けられます。
PhotoshopやIllustratorを勉強し始めた人が、
「基本操作をどこまで理解できているか確認したい」
「Adobeアプリを学んだことを形に残したい」
という目的で挑戦するのはいいと思います。
ただ、ここも同じです。
Photoshopが使える=デザインができる、ではありません。
IllustratorでもPhotoshopでも、ツールはあくまでデザインを作るための道具です。
私は普段Illustratorを使って仕事をしていますが、機能をたくさん知っている人より、目的に合ったデザインを考えて、そのために必要な機能を使える人の方が実務では強いと思っています。

ITパスポートは、デザインの資格ではありません。
IPA(情報処理推進機構)が実施する国家試験で、ITを活用する社会人や、これから社会人になる人に必要な基礎知識を対象としています。ITだけでなく、セキュリティや企業活動など幅広い分野を学びます。
WebデザイナーになるためにITパスポートが必要かと聞かれたら、必要ではありません。
社会人がWebデザイナーへの転職を目指していて、
「ITパスポートを取るか、ポートフォリオを作るか」
で迷っているなら、私はポートフォリオをすすめます。
ただ、学生なら話は少し違います。
まだ実務経験がなく、履歴書に書ける経験も少ない段階であれば、ITについて基礎から勉強したことを示す一つの材料になります。IPAも、ITパスポートの対象として「これから職業人となる者」を挙げています。
学生のうちにIT全般を勉強しておきたいなら、資格取得を目標にするのはありだと思います。
ただし、デザイン職への就職を目指すなら、
ITパスポートを取ったから安心、ではなく、そのうえでポートフォリオも作ってください。

デザインに関係する資格として、色彩検定もあります。
色彩検定には3級・2級・1級などがあり、色の基礎から配色、色彩調和、実務への応用まで段階的に学べます。公式でも、3級は初めて色を学ぶ人、2級は実務への応用、1級はより専門的に扱いたい人向けとされています。
色はデザインをするうえで重要なので、配色について体系的に学ぶこと自体は役立ちます。
ただ、これも資格名が履歴書に書いてあることより、
「このターゲットだからこの配色にした」
「この情報を目立たせるためにこの色を使った」
と、学んだ知識を実際のデザインに使えることの方が大切です。
資格を取ったら、ぜひ作品制作の中で使ってみてください。
資格にはそれぞれ学べることがあります。だから「資格なんて全部いらない」とは思っていません。ただ、Webデザイナーになりたいのに、資格を集めることが目的になってしまうのは違います。自分に足りない知識を補うために資格を使う。そのくらいの距離感がちょうどいいと思っています。
資格を取るなら「何のために取るのか」を先に決めよう

ここまで紹介してきたように、Webやデザインに関する資格にはそれぞれ役割があります。
だから私は、資格を取るかどうかを考えるときに、最初に
「その資格を取って、何に使いたいのか?」
を決めてほしいと思っています。
目的がはっきりしていれば、資格の勉強は無駄になりにくいです。
逆に、
「何となく持っていた方が安心だから」
「スクールで取れると言われたから」
「給付金が使える講座だから」
という理由だけで選ぶと、資格取得そのものが目的になってしまいます。
| 目的 | 私ならこう考えます |
|---|---|
| Webデザイナーへ転職したい | 資格よりポートフォリオを優先 |
| 学生で就活の材料を増やしたい | 資格取得もあり。作品もセットで用意したい |
| Photoshop・Illustratorを体系的に学びたい | アドビ認定プロフェッショナルなどを学習目標にするのはあり |
| Web制作・コーディングの知識を確認したい | ウェブデザイン技能検定やWebクリエイター能力認定試験を検討 |
| IT全般の基礎を身につけたい | ITパスポートも選択肢 |
| 色について体系的に学びたい | 色彩検定などを学習に活用 |
| 給付金を使ってスクールで学びたい | 給付金より先にカリキュラム・作品・添削内容を確認 |
Webデザイナーへの転職が目的なら、私はやはり資格よりポートフォリオを優先します。
一方で、学生なら資格を取る意味はありますし、「Photoshopの操作を一度きちんと整理したい」「ITの基礎を体系的に勉強したい」といった目的なら、資格を学習目標にするのもいいと思います。
大事なのは、資格を取ることと、デザイナーになることを同じにしないことです。
資格をきっかけにWebデザインスクールを探す人もいます。
実際、講師をしていると、
「この資格は取れますか?」
「給付金の対象になりますか?」
というところからスクールを比較している人もよく見ます。
でも、Webデザイナーを目指すなら、本当に確認してほしいのはその先です。
- 卒業する頃に、どんな作品を作れるようになるのか。
- 誰から添削を受けられるのか。
- オリジナル作品やポートフォリオまで作れるのか。
- 転職や副業につなげる支援があるのか。
資格が取れることは、スクールを判断する材料の一つではあります。
ただ、「資格が取れるスクール=デザイン力が身につくスクール」とは限りません。
私はスクールを選ぶなら、資格の有無より先に、学んだあとにどこまで作れるようになるのかを見ます。
👉 Web・グラフィックデザインスクールの選び方|後悔しない6つのポイント
実際のスクールを比べたい人は、比較記事も参考にしてください。
資格は目的ではなく、必要な知識を身につけるための手段の一つ。
ここを間違えなければ、資格を取ること自体は十分ありです。
「資格を取った方がいいですか?」と聞かれたら、私は先に「何のために取りたいですか?」と聞きます。転職したいのか、学生の就活なのか、知識を整理したいのかで答えは変わります。目的が決まってから資格を選ぶ方が、時間もお金も無駄になりにくいですよ。
まとめ|資格は取ってもいい。でも「資格があればデザイナーになれる」ではない

ここまで読んでいただき、Webデザイナーに資格が必要かどうかの答えは出たでしょうか?
Webデザイナーになるために、資格は必須ではありません。
私はデザイナーとして26年仕事をしてきましたが、資格を求められたことはありませんし、採用に関わったときも、資格より作品を見てきました。
一方で、講師をしていると「資格はなくても大丈夫ですよ」と伝えても、それでも資格を取りたいという人は本当に多いです。
その理由は、
- 勉強した証明が欲しい
- 就職に少しでも有利になりたい
- 給付金を使って受講料を抑えたい
- 資格取得を学習の目標にしたい
など、人によって違います。
こうした目的があるなら、資格を取ること自体は悪くありません。特に学生なら、まだ実務経験が少ない分、「この分野について学んだ」という補助材料として資格を持つ意味はあると思っています。
ただし、デザイン職を目指すなら、資格を取ることと、デザインができるようになることは分けて考えてください。
仕事で必要になるのは、ツールの操作知識だけではありません。
目的やターゲットを考えて、自分でデザインを作る。作品を添削してもらい、修正する。ポートフォリオにまとめて、自分が何を考えて作ったのか説明する。
私は、こうした経験の方がデザイナーを目指すうえでは重要だと考えています。
そして、スクールを選ぶときも同じです。
「資格が取れるから」
「給付金で安くなるから」
だけで決めるのではなく、
どんな作品を作れるようになるのか、誰に添削してもらえるのか、ポートフォリオや仕事につなげるところまで学べるのか。
そこまで確認してから選んでほしいです。
資格や給付金は、そのあとです。
資格は、持っているだけでWebデザイナーになれるものではありません。でも、目的を決めて学習に活用するなら、取る意味はあります。
資格を取るか迷ったら、まず「この資格を取って何に使いたいのか?」を一度考えてみてください。
答えが「Webデザイナーとして仕事をしたい」なら、資格取得だけで終わらず、必ず作品制作まで進みましょう。
私なら、資格を1つ増やすためだけに時間を使うより、その時間でオリジナル作品を1つ作って、添削を受けて直します。でも、学生だったり、知識を体系的に学びたかったり、資格を取る目的がはっきりしているなら挑戦するのはありです。大事なのは「資格を取った自分」ではなく、そのあとに何を作れるようになったかだと思っています。
スクエアワークス中の人です。
- デザイナー歴26年(グラフィック・Web)
- 現役デザインスクール講師
- 会社員時代部署のトップ、採用立場経験あり
高校卒業 → 専門学校3ヶ月で中退→ 運良く広告代理店の制作部に入社 → グラフィックデザイナーとしてフリーランスになる → Webデザインを学ぶ → 現在:グラフィック・Webデザイナーフリーランス兼スクール講師


